能力が高い人が評価されるわけではない理由

2017-09-19 2017-09-27

「なんで私の方が能力が高いのに、彼の方が給料が高いのでしょうか」

管理職をやるようになってから、何度も言われたセリフです。

こういうことを言ってくる人というのは、確かに頭が切れるタイプが多く「ある側面で見れば、確かに能力が高い」と言えなくもない人だったりします。ただ、今実際に同じようなことを思っている人もいるとは思いますが、この考えには根本的な間違いがあることも多いので注意が必要です。

能力と業務が合っていない

野球選手にサッカーをやらせても大して活躍出来ないように、能力と成果は必ずしも一致しません。能力が高いにも関わらず評価が得られない場合、その能力が業務と合っていないケースが多いです。

大企業の選び抜かれた役員をロジカルに説得できる営業は、ある種能力が高いと言えます。しかし、顧客の大半が感情で動く個人商店の経営者だった場合、その高い能力は中々生かしきれません。感情を揺さぶるのが上手い営業に、成績で負ける可能性も高いでしょう。

逆に、能力が低かったとしても、その業務に特化された人はそれなりの成果を上げることが出来ます。

こういった人を見て、「自分の方が能力が高いのに」と考えるのは間違いです。戦う場所を間違えてる自分の問題です。自分の才能を発揮できる場所を探しましょう。

能力を一面でしか捉えていない

例えば「仕事を取ってくる能力」が高い人は営業として優秀でしょうか。ある側面では優秀かもしれません。しかし同時に「顧客の要望をまとめる能力」が低かったらどうでしょうか。

仕事は沢山取ってくるものの、取ってきた仕事は高確率で炎上。売上は低くないが、結果的に赤字案件ばかり。こんな営業は評価されるでしょうか。

また、ものづくりなどでは「品質の低いものを大量に作って、やったつもりになる」という人もよく見かけます。納品担当が苦労したり、クレームが増えたりと良いこと無しですが、本人の自己評価は高かったりします。

能力というのは多面的なものです。能力の一面だけを見て「自分は優れている」と思っていても、実際には別の面で全てが帳消しになる程「劣っている」部分があるかもしれません。

実は能力が低い

「自分は能力が高い、だから仕事が沢山回ってくる、ああ忙しい忙しい」

どこの職場にも一人くらいはこういう人がいると思いますが、実は「他の人と同じくらいの仕事しか回って来ていない」ケースも少なくないです。

では、なぜそんなに忙しいのか。単純に仕事が遅いから。つまり、本人の認識と現実がずれてます。

「忙しい=仕事が多い=自分は能力が高いから期待されている」と間違った捉え方をしてしまう人は意外に多いです。もちろん、忙しくもないのに根拠のない自信を持っている人もいます。

必ずしも他者の認識と自分の認識を合わせる必要はありませんが、現実と自分の認識は合わせた方が良いでしょう。

高い能力を生かすためにはどうしたら良いか

能力というのは持っているだけでは意味がありません。使って、生かして、何かを生み出して初めて意味を持ちます。能力が高いのであれば、それを生かすための機会を作ることに力を注ぐと良いでしょう。

それが適性の問題なのであれば、転職でも起業でも、自分に適した仕事を探すべきでしょう。収まるところに収まれば、大きな成果を上げることが出来るはずです。

やっているつもりなのに評価が得られないのであれば、自分の能力が高いという認識自体に疑問を持った方が良いでしょう。能力のとある側面で大きなマイナスとなってしまっているのか、そもそも能力が高くないのか、自分を見つめなおすことで活路が見いだせるかもしれません。

人の能力は多面的なものなので、そもそも能力が高いという表現自体が曖昧なものです。ただ、評価されるために絶対に必要な能力は存在します。

それは「チャンスを作るための行動力」です。

能力を発揮する機会を待っていても、その機会は一生やってこないかもしれません。

能力を発揮するための機会を作れる人だけが、能力に見合った評価を受ける権利を持っているのです。