Googleの医療・健康系キーワードアルゴリズム変更が糞な件

2017-12-22 2018-09-06

2017年12月6日に、Googleの医療・健康系キーワードに対するアルゴリズムの変更が行われました。これは日本独自のようで、一言で言えば「大暴れしたキュレーションメディアを叩き潰すための施策」ということのようです。

SEO界隈のご意見番的存在である辻先生も絶賛する今回のアップデート、他にも「とりあえず辻さんが良いって言ってるから乗っておくか」みたいなコメントがSEO界隈から出ていますが、筋トレマニアで健康オタクの私からすると、今回のアップデートは間違いなく「糞」でした。

実例を出しながら、今回の医療・健康系キーワードアルゴリズム変更が糞な理由について説明します。

Googleの考える信用度の高い情報とは、大企業が出す情報のこと

私は週に5日程度筋トレを行い、年間15kg程度のプロテインを飲みます。
ということで、プロテインにはかなり詳しいのですが、アルゴリズム変更後のGoogleで「プロテイン」を検索すると、順位は以下のようになっています。
※プライベートモードで東京都から検索

1位:DNS
2位:グリコ
3位:グリコ
4位:wikipedia
5位:明治(ザバス)
6位:明治(ザバス)
7位:森永(ウィダー)
8位:森永(ウィダー)

wikipediaを抜かした全てがプロテインの製造会社で、全部プロテインの宣伝です。当然ですが、自社のプロテインのアピールが書かれています。

気づいた方もいるかと思いますが、いくつかのページはランディングページです。宣伝のために作られたページです。最後に「申し込みはこちら!」とかって書かれているアレです。

さて、プロテインについて調べようと思ったとき、特定企業の特定のプロテインをお勧めするページが、それも自社の商品をアピールするためのページが真っ先に出てくるのが、本当に医療・健康上正しいのでしょうか。

なお、筋トレ界隈ではDNS、ウィダー、グリコ、明治のプロテインは「高い割に特に質が良いわけではない」と言われることが多く、あまり評判は良くありません。明治のザバスだけは、「どこのドラッグストアでも確実に売ってるから、初心者はザバスのココア味取りあえず飲んでみれば?」程度にはお勧めされています。

筋トレ界隈のガチ勢の間で比較的評判が良いのは、バルクスポーツ「値段の割に質が良い」、マイプロテイン「成分の選択肢が多い」、チャンピオン「安くて量が多い」などですが、検索結果ではそれ程上位には来ません。

つまり、Googleにとっての信頼性の高い情報とは「社会的に名前が売れている大企業が出す情報」ということになります。

今回はプロテインを例に挙げましたが、例えば、誰もが知ってる大企業「サントリー」では、多くの怪しい健康食品をアフィリエイトで宣伝しています。
さて、キュレーションサイトで「肩こりは幽霊が原因!」と露骨な嘘を見るのと、大企業のサイトで「肩こりにはニンニクと黒酢が効きます!」と書かれた情報を見るのでは、どちらがその人にとって悪影響を及ぼすでしょうか。

私は後者だと思います。

信頼出来る企業の判定もおかしい

今現在、「納豆 健康」で検索すると、1位に来るのは「naverまとめ」になっています。
※プロテインと同じ条件で検索

naverまとめは確かにインターネット上では超有名なサイトで、どういうわけかGoogleの検索結果でも常に上位に表示されています。naverは大企業なので、Google的には「非常に信頼性の高いサイト」なのでしょうか。

しかし、我々一般ユーザーの考えは異なります。私たちがnaverに抱いている印象は「素人が金目当てで適当にコピペで情報を集めただけの当てにならないサイト」ではないでしょうか。というか、WELQやMERYと何が違うのか良くわかりません。パクリ居直りしないだけ、まだWELQの方がマシかもしれません。

なお、この検索結果で3位4位に表示されるのは「日刊SPA!」です。特に説明しませんが、本当にこれが信頼性の高い情報なのでしょうか。

怪しい肩書が信頼性の証になっている

これは今後のアルゴリズム変更で対応される可能性もあるかもしれませんが、今は特定の肩書を明記したページの検索順位が上がっています

具体的に書いてしまうと悪用出来てしまうのでハッキリとは書きませんが、「○○監修」とか「○○資格持ちの私が」とか書いてあるサイトの順位が有意に上がっているのを確認しています。しかも、書いてあるだけで本当にそうなのか判断出来ないページの順位が上がっています。

例えば、「臨床心理士のバッファローマンです!」と書かれていた場合、その人は本当に臨床心理士なのでしょうか?そんなことはGoogleにもわかりません。

しかし、私が確認したいくつかのサイトでは、「名前が明らかな偽名(バッファローマンみたいなやつ)」「性別も住所も不明」「写真はすべてフリー素材」「肩書はとある資格の所持者」「素人とは思えないSEO施策」で、多くのキーワードで検索上位を獲得していました。

つまり、Googleの信頼性というのは共起語と同じく、それっぽい単語が入っているか否か、に大きく左右されていると考えられます。嘘を躊躇なく書けるモラル皆無の人達にとって非常に有利になりましたね。DeNAにはうれしい展開ではないでしょうか。

逆に言えば、例えばキュレーションサイトで本当は権威ある医師が記事を書いたとしても、そのことを明記しなければ「怪しい情報だから圏外」となってしまうということです。

アルゴリズムに限界があるのはわかりますが、昔のキーワード詰め込みSEOが効いてしまう状況に戻りつつあるのではないかという不安を感じます。

蛇足ですが、例えばよく話題になる糖質制限などでは、医師によって言ってることが全く異なります。本当の資格持ちであっても、その情報が正しいかどうかはよくわからず、あくまでも「その人の持論」に過ぎないのが現実というのを、閲覧者側も意識しておく必要があるように思えます。

権威主義、肩書主義がGoogleの目指す未来なのか

皆さんは「ためしてガッテン」という番組を覚えているでしょうか。
TVの中で最も権威のあるNHK発信の健康番組で、数々の健康食品ブームを生み出してきた番組です。

今となっては、健康詐欺の本尊のような存在になっていますが、当時は「NHKの情報だから」と皆が信用し、全国のスーパーから特定の食品が無くなる事態に何度もなりました。

国民から税金紛いの徴収を行うNHKですら、視聴率のためには視聴者を騙します。半分公的機関のような存在のNHKですらそうなのです。

民間企業は、利益のために少なからず消費者を騙します。大企業でも、中小企業でも、どんな企業でも同じです。いかに原価を下げるか、いかに商品を良く見せるか、いかに買わせるかに全力を尽くします。結果、少々の騙しは当たり前のこととして行われています。

DeNAなど、悪質なWeb系企業は確かに存在します。モラルも何もない、短期的な利益を稼ぐことだけを考えている彼らを止める手段は何かしら必要なのでしょう。

しかし、その結果、健康情報が企業の自社商品PR合戦になるのも違うのではないでしょうか。

何かしらの対策を行う必要があると考えるのはわかりますが、今回の対応は「権威による情報操作を容易にした」という点で、私は全く評価出来ないという立ち位置を取っています。